【SPGI】格付け会社はマスコミの手先か?

2019/07/23

投資



SPDRマンです。

SPDRマンも大変お世話になっているS&P500指数ですが、
このS&P自体はいったい何をしている会社なのでしょうか。

そもそもS&P(Standard & Poor's)という名前は大昔、スタンダード統計という会社と
プアーズ出版社という会社が合併してできた名称です。その後、度重なる合併と
事業分割を経て、出版・情報サービスのマグロウヒル社の子会社となりました。
ちなみにマグロウヒルもマグロウ出版とヒル出版が合併してできた会社です。
その後マグロウヒルがビジネスウィーク部門をブルームバーグに売却したり、
教育出版事業も売却し、フィナンシャル部門専業となりました。
更にコンサルティング部門を売却後、現在の
「S&Pグローバル」【SPGI】という社名になりました。
現在は下記の4事業が主軸の様です。

・S&P グローバル・レーティング - 信用リスク分析(格付け)
・S&P グローバル・マーケット・インテリジェンス - 財務データや分析ツールの提供
・S&P ダウ・ジョーンズ・インデックス - 株価指数などの各種インデックス算出
・S&P グローバル・プラッツ - 商品(コモディティ)市況の提供

指数の算出ということであれば、MSCIなども当てはまりますが、
今回は格付け会社としてのS&Pを考えてみたいと思います。

そもそも格付け会社とは何か、例のごとく証券会社の用語解説を参照すると
下記の通りです。
債券などの元本償還や利払いの確実性を分析し、アルファベットや数字など簡単な記号でランク付けする民間企業。
「格付け機関」「信用格付け会社」ともいいます。2007年に表面化したサブプライムローンに端を発した世界的な金融危機の際、信用格付けの内容が問題視されました。このため、10年の金融商品取引法改正で、独立性、公正性などの観点から、格付け会社としての体制が十分に整備された会社については金融庁に登録され、監督下に置かれることになりました。 
(出典:大和証券 金融・証券用語解説[格付け会社]
格付け会社はS&Pの他にも米国系のムーディーズ、欧米系のフィッチ・レーティングス、
国内では格付投資情報センター(R&I)や日本格付研究所(JCR)などがあります。
市場シェアは米国系2社で8割を超え、フィッチまで含めると9割を超え寡占状態です。
日本の2社は国内での信用格付けの実績は多いものの、大手3社と比べると規模が小さいです。
この他にも欧州連合系の会社や中国資本の会社などもありますが割愛します。

格付け会社の特徴として、マスコミやメディア企業の関与が結構深いことです。
もともと統計調査や出版事業から派生しているので、自然といえば自然ですが、
かなり露骨です。


現在のS&Pはマグロウヒルが母体ですので、経済出版にもともと定評があり、
日本でも日経マグロウヒル(現在の日経BP)があった様にこの分野の草分け的存在です。
ムーディーズ【MCO】は知る人ぞ知るバフェット銘柄ですね。バフェット氏自身も
新聞配達のアルバイトから始まり、地元週刊紙の買収、ワシントン・ポストの
グレアム家との親交、ビジネスワイヤの買収やアメリカの地方紙の大量買収など、
あまり話題になりませんが密かにメディア・コングロマリット化しております。
フィッチは英米系の企業の合弁から仏系企業に渡り、現在は
米メディア・コングロマリットのハースト・コーポレーション傘下です。

日本の2社を確認してみると、格付投資情報センター(R&I)は
日本経済新聞の子会社です。社長は日経本体からの天下りです。
日本格付研究所(JCR)は国内の通信社と保険会社が共同で出資しています。
大株主は時事通信と共同通信です。(某大手広告代理店みたいですね)
社長は旧大蔵省(現:財務省、金融庁)からの天下りです。

資本関係があるからと言って、扱っているデータに歪みや忖度が生じるかといえば、
決してそんなことはなく、アメリカでも日本でも外圧に屈しない環境を構築し、
その結果算出された信用情報は、それなりの効力を発揮しています。
トリプルA銘柄のマイクロソフトやジョンソン&ジョンソンなどは、
米国株ブロガーさんにもよく取り上げられ言及されていますよね。
(とは言ってもリーマンショック直前にリーマン・ブラザーズもトリプルAでしたので
そこは少し眉唾で情報を精査する必要があることには変わりありません)

そういえば吉本の社長が在京在阪テレビ局との資本関係のことを言及していましたが、
あれは株主と会社との関係を何か勘違いしてたのかもしれません。
むしろ吉本は子会社側ですので、本来は厳しく追及される側ですね。
子会社だから必ず救済してもらえると考えていたのでしょうか。
(昔ながらの日本企業的な発想だとそうなのかもしれません…)

自分が投資の際に利用している何気ない、データや指数の裏にも
様々な利害関係が潜んでいたりするものです。
そんなことを考えつつ、いつも通りあまり難しいことは気にせず、
インデックス投資をまったりと積立続けようと思うSPDRマンでした。

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