イノベーションの議論は、なぜかみ合わないのか
(出典:日経xTECH 2017/10/30 05:00)
SPDRマンです。
年初の投稿で迂闊にも「イノベーション」という言葉を使ってしまいましたが、
SPDRマンが想定していたイノベーションと、お読み下さる皆様が連想する
イノベーションが確実に異なることに気がついたため、補足を投稿することにしました。
学生時代にお世話になった先生の新著を紹介したいと思います。
『イノベーションは、万能ではない』(日経BP)
西村 吉雄 著(2019年11月発売)
ご紹介したかった第1章〜第3章がちょうど無料プレビューの範囲だったため、
リンクを設けておきます。
Googleブックス『イノベーションは、万能ではない』
西村先生は技術研究者そして技術に精通するジャーナリストとして、
主にアメリカの企業と大学におけるイノベーションの研究をされて来た方です。
特にインテル【INTC】hp【HPQ】、ベル研究所【T】(現在は【NOK】子会社)
などの中央研究所の研究をされていました。
「イノベーション」という言葉は現代人のほぼ100%が誤用している言葉です。
かく言うSPDRマン自身も正しい使い方をできておりません。(専門外ですみません…)
そもそもイノベーションの提唱者とされるシュムペーター自身は論文や著書で、
イノベーションという言葉を用いておりません。
「経済システムが自らを時間的に変化させる力」
これこそが本来のイノベーションと呼ばれているものの本質です。
そしてその力がどのように生まれるかというと「新結合の遂行」によって生まれます。
超ざっくり言ってしまえば、新しい組み合わせです。
つまり必ずしも最新技術を必要としないのです。
どんな言葉でも日本語に置き換えられていないカタカナ言葉(外来語など含む)は
基本的に疑った方が良いです。だいたい腑に落ちる概念で誤魔化されております。
これはSPDRマンが学生時代に某企業のインターンシップに参加した際に
その時担当して頂いた方から教わったことです。
ワイドモート、ブラックスワン、アナルなど
確かに危険で魅力的な言葉がたくさん並んでおります。
そしてその最たるものがドットコム・バブルです。
本当のクソ株までもが高騰し、バブル崩壊で価値のあるはず企業の株価まで暴落しました。
(そして残念ながら歴史は繰り返される可能性が高いです)
西村先生が当時研究していた企業は、いずれもドットコム・バブル期の最高値を
未だに更新できておりません。(2019年12月末現在)
今はインテルしか残っておりませんが、いずれもダウ平均の構成銘柄でした。
本当のイノベーションは最先端技術に頼らずとも成し遂げられるのです。
そしてそのことを実証してくれているのがバリュー株の存在です。
(注:バリュー株銘柄の企業も、ちゃんと研究開発等はしています)
なんだか難しい話になってしまいましたが、本当に市場を牽引してくれるのは
グロース株なのではなく、バリュー株も含めた総和がインデックスの価値なのです。
久々にシュムペーターのことを思い出したSPDRマンでした。
少しだけ学生時代を思い出しました