疑惑の雇用統計について知っておいて欲しいこと

2020/06/06

投資


Here’s why the real unemployment rate may be higher than reported
(出典:CNBC PUBLISHED FRI, JUN 5 20201:29 PM EDTUPDATED FRI, JUN 5 20205:21 PM EDT)



米国労働省は雇用統計の失業率に関して、以前から一部指摘があった通り隠れ失業者数を含んだ数値に訂正変更する方針を固めました。

米国だけではなく、日本国内においても労働力調査を始めとした政府統計は新型コロナの影響で、調査の実施自体に影響が出ている現状があります。

投資銀行やヘッジファンド、民間のシンクタンクや調査機関およびマスコミが調査結果の予測や検証を実施しますが、実際に調査を実施する政府は予算をしっかりとかけて調査をするのに対し、民間企業が検証にかけられる費用は、正直限られております。

はっきり申し上げて、今の状況で本当に正確な数値を割り出すことはほぼ不可能です。

また、通常時の調査の数値も必ずしも正しいという訳ではなく、調査を積み重ねていった結果、確からしい傾向がわかる程度のものだと捉えた方が良いと思います。

そもそも米国の雇用統計自体は1929年の大恐慌の際の大量失業の実態を正確かつ迅速に捉えるために研究開発され、1940年1月より毎月調査が実施されるようになりました。

実はブラックマンデーの際にETFが考案されたのと似たような構図で生まれたものなのです。

それ以前には人口センサス(日本で言うところの国勢調査)で数年に一度だけしか雇用調査は実施されておりませんでした。

IV 労働力調査における諸定義の発展と調査の変遷
第8章 諸定義の発展と国際基準(PDF:490KB)
(出典:総務省統計局 労働力調査の解説(令和元年6月版)

この数値をもとに、政府が失業対策を打てるようになったこと自体が、市場経済にとっては大きな前進でした。

ですので、数値の良し悪しに一喜一憂するよりも、より正確な数値が割り出され、その数値に基づき対策を打つことができる方が重要なのです。

投資家も同じように、より正確な数値に基づいた情報で投資判断をすることが大切です。

雇用統計もそれ自体が目的ではなく、ETFや投信と同様に社会活動や投資環境をより良くするために作り出された発明です。

所詮数値はまやかしかもしれませんが、ちゃんとした根拠に基づく投資をしたいのであれば、株価や決算、信託報酬だけではなく、各種統計も正確な数値の追求を怠ってはいけません。

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