GAFAに加え新興のIT企業に仮想通貨、更には中国などの新興国の勢いのある企業と投資先の流行り廃りは日々変わり続けております。
そういった多岐にわたるテーマをどこかで総括しておきたいという投資家の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本日ご紹介するのは、デジタル・テクノロジーと国際情勢を考察するには格好の書籍です。
GAFAvs国家、勝つのはどちらか?ニュースではわからない「本質」を、テクノロジー×政治×経済の視点で読み解いた全ビジネスパーソンの新・教養。
『デジタルテクノロジーと国際政治の力学』塩野 誠 著(NewsPicksパブリッシング)
著者の塩野氏は外資系の金融機関やコンサルティングファームを経て、ライブドアに入社しニッポン放送の買収等を担当。その後ライブドア証券の副社長を経て、JBIC IG Partners(国際協力銀行と経営共創基盤の合弁会社)代表取締役CIOに就任されております。
ちなみに本書はNewsPicksパブリッシングから出版されておりますが、塩野氏は株式会社ニューズピックス社外取締役でもあるそうです。
デジタルテクノロジーの興亡から始まり、サイバー攻撃とハイブリッド戦争、SNSとプロパガンダ、国家とプラットフォーマーの対立点、デジタル通貨と国家の覇権に関する問題など投資家であれば避けては通ることのできない論点を網羅的にしかもそれぞれの項目をかなり詳しく説明と考察をしております。
予備知識がなくても読み進めることはできますが、読みこなすにはそれ相応のIT技術に関する知識や国際政治、経済に関する知見が求められます。
投資ブログを読むのが楽しいと感じる方(特にテクノロジーセクターが好きという方)にとっては割と親しみやすいと思います。
割とどの章もしっかりと書かれており非常に読み応えがありますが、既存の事実を解りやすくが中心で新規性には欠けるところがありますが、現代の世界の環境を俯瞰的に捉えることができるという点においては非常に素晴らしい書籍です。
最終章は、他の章とは毛色が異なり、「日本、まだいけますよ」という応援のメッセージが込められた内容になっております。
割と米国株を含めた海外株投資家は日本がダメだから他国に投資するという論調を見かけることが多いですが、実態は海外を見てこなかったからこそ日本がダメになってきたのであって、海外への投資を通じて日本を良くすることもできるのです。
当ブログが米株指数への投資を推奨するのは、次の世代の投資家には米国や世界への投資を通じて、また日本へ回帰してきて欲しいという思いと、やがてはS&P500指数ではなく、日経平均またはTOPIXのような国内の株式指数だけでも安定した資産形成ができる環境が整って欲しいという願いもあります。
今はまだ理想からはほど遠いですが、日本に本当の意味で投資が浸透すれば為替リスクを負わない国内インデックスが最強の時代が来るかもしれません。