
米国株高に乗じた記事を見かけました。
もっともらしいことが書き連ねてありますが、若干計算がおかしかったり(注意書きを書いたとしても、株式分割を考慮せずに騰落率の倍率を単純計算するのは、いくら分かりやすく記載するためとはいえ流石にまずいのでは?)、どこかで聞き齧って書いたような記載も多く見受けられ残念な感じもしましたが、米国株が魅力的であるということを伝えようとしているのは何となく理解できました。
確かに日本市場は企業や雇用を守り過ぎたが故に、株主を蔑ろにしてしまったことが、株主利益の最大化という株式会社(というか資本主義)の根本的な原則からの逸脱につながり、長期低迷を余儀なくされているのが現状です。
別に最先端技術の集積や時価総額の高い企業が揃っていれば必ず良いパフォーマンスが約束されるとは限りません。(バブル崩壊に向かう前の日本を思い出してください)
当時も米国は核心的な利益においては決して諸外国に対して一歩たりとも譲らなかったかもしれませんが、他国の方が投資に対するパフォーマンスが高い時期というのも当然存在するのです。
では米国は何が他とは異なるのかといえば、資本主義のOS部分なのだと思います。
かつて覇権国であった英国ももちろん資本主義で繁栄しましたが、今の米国ほど徹底したエコシステムを構築できませんでした。
覇権循環論的な発想で行けば次の挑戦者である中国は、米国とは異なるOSで動いている国です。
第二次大戦後、西側諸国となった日本や西ドイツは敗戦国にも関わらず資本主義体制の恩恵を受けて発展しました。
一方、貿易摩擦や通貨戦争が起きても米国を超える存在にならなかったのは、軍事的なプレゼンスだけではなく、ソフトウェア(OS)の根本的な理解ができなかったのだと思います。
表面的にハードウェアの部分のコピーや高品質化はできたとしても、ソフト部分のオリジナリティーや革新が無ければ、本当の意味で体制の先導者にはなれないのです。
国境に関係なく、独創的なアイデアが次の時代を創るという意味においては良い時代なのだと思います。
ただ、表層的な理解だけで物事を捉えていると、必ず見誤ることになります。
自戒の念を込めて、薄っぺらい知識で投資をすれば足元を掬われることになるのは避けられません。