
日本の市場や経済の低迷を憂いる論調を見かけることがあります。
共感することも多々ありますが、大抵の場合問題を提起しているのは、その諸悪の根源だったりするのです。
これは構造的な問題でもあるため、誰が悪いという話ではないのかもしれませんが、その原因を突き詰めれば既得権益を手放さない投資家に問題があるのかもしれません。
政策依存で中々自律できない市場というと、日本市場のことや新興国市場を思い浮かべる方も多いですが、この言い回しは欧州でも使われますし、米国も伸び悩む時期は大抵同じようなことが指摘されます。
日本の株安・円安・債券安(金利上昇)トリプル安は「(既得権を優先し革新できない)イノベーションのジレンマにとらわれた」象徴として、扱われますが、企業の合理化には当然痛みも伴います。
日本のタイヤ大手ブリヂストンによる外国企業や投資ファンドへの事業売却に伴う社員の転籍は、株主にとってはプラスでも従業員にとってはマイナスです。
日本企業のサラリーマンという既得権益は、今までかなり護られてきましたが、それが日本株のパフォーマンスに影響していたと言われればその通りなのかもしれません。
多くの投資家は安定した経営や雇用環境の恩恵を受けて資産の運用してきましたが、日本が本当の意味で資本主義の先進国となるためには、市場の高パフォーマンスのために、経営者や労働者としての既得権益を差し出さないといけないのかもしれません。