
今年度に入ってから買い入れ対象から日経平均連動商品を除外しTOPIX連動商品のみに変更するなど、「必要に応じて」に方針を転換した日銀のETF買いですが、そもそも買い入れをほとんど実施することなくこの年末を迎えました。
もともと批判も多かった中央銀行によるETFの買い入れオペですが、個人的には新しいことに挑戦する姿勢は嫌いではありませんでした。
今でこそ当たり前になっている企業の自社株買いも、もともとは法律で禁止されておりましたし、昔のイギリス会社法では自己株式の取得すら禁止されておりました。
中央銀行によるETFの買い入れも、企業の自社株買い同様、理論上は評価額や株価には一切何の影響もありません。
それでも実際は、市場は買い入れを好感し、ETF買い入れも企業の自社株買いも株価が上昇する現象が発生しております。
法律の移り変わりとともに、市場の論調も変わって行くものです。
自社株買いが法律で禁止されていた時代、バフェット氏は自社株買いの解禁を鋭く批判しておりましたが、今ではバークシャーが自社株を買い入れる時代になりました。
本人の好む好まざるとにかかわらず、決められたルールの中では最大限のパフォーマンスを求められるのが市場の世界です。
法律は禁じていなくとも、運用で修正して行くのもまた一つの手段ということなのかもしれませんが、永田町でも「解散と公定歩合は嘘をついても良い」という格言があったりします。
中央銀行も市場の成長のためには「噓も方便」なのかもしれません。