簡素化がもたらす利益率向上とリストラ

2022/07/18

 

テスラが自動車業界にもたらした革新は良いものも悪いものも含め様々なものがあるかと思いますが、仕様簡素化という要素は外せないものの一つです。


T型フォードの時代から画一化された車を大量生産するという産業ではありましたが、そこから多品種化への道を進み顧客の要求に応じた多様なオプションを提供することで利益の最大化を目指しました。


その一方で製造工程の複雑化は利益率の低下をもたらし、株主や経営者にとっては長年の課題となっておりました。


業界の構造がシンプルな方向に向かえば株主的には利益率の向上も期待できるのかもしれませんが、そう一筋縄に行かないのが自動車業界の難しさのような気もします。


シンプルな方向に向かえば向かうほど、余計なコストが削られ顧客や経営者には利益をもたらすかもしれませんが、業界内の企業やそこで働く人々の利益や雇用環境は圧迫されて行きます。


自動車産業の裾野の広さはかなりのものですので、それを埋め合わせるだけの新たな産業を育成するのは容易ではないことは想像に難くないのではないでしょうか。


自動車の業界団体や経産省の役人の肩を持つ訳ではありませんが、仕様簡素化がもたらすリストラが業界の時価総額を向上させても業界全体の活性化につながるとは限りません。


競争の厳しさは諸行無常の響きありです。

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