【PG】書評『苦しかったときの話をしようか』

2019/07/29

書評



本日は、久々に書籍の紹介です。

森岡 毅 著
『苦しかったときの話をしようか
ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』
ダイヤモンド社

著者はP&G出身の戦略家・マーケターで、大阪のユニバーサルスタジオジャパン
(USJ)の再建で一躍有名になり、テレビ等でも一時期話題になりました。
マーケティングに関する著作は何冊か既に出版されており、
どれも非常に興味深い内容で、とても面白かったです。

本作は、森岡氏の娘さんが就職活動を迎えるにあたり、
プロのマーケターとして、就職活動やその後のキャリア形成に
いかに取り組むべきかを、森岡家の虎の巻として書き綴ったものを、
書籍化したものです。

最初の就職先であるP&G時代の苦労や外資系特有のカルチャー、
海外(米国本社)駐在員としての経験談や、USJへの転職から起業に至るまで、
森岡氏のキャリア形成とそこに至るまでの思考の変化等を
我が子に伝えるため赤裸々に書いています。

P&Gはダウ平均構成銘柄としてお馴染みですが、
日本でも人気就職先として、学生の間でとても人気があります。
SPDRマンが学生だった頃も、ここのインターンシップに参加し、
手早く内定を取ってきたゼミ仲間がいました。

就職活動している学生さんや、外資系企業で働いている方はもちろんのこと、
子育て真っ最中の親御さんにもぜひ勧めたい書籍です!

そして著書の中で、就職先の選定のアドバイスの余談の中に、
銘柄選定のヒントが含まれておりました。以下、その参照箇所の
太線で記載されている部分の抜粋です。

・自分の目的に合致するかどうかが最重要なのであって、目的に合わない
就職や転職ならば、どれだけ業績が良い企業に入っても意味がない。

・「需要の持続性」や「競争優位を維持する構造」は、実は株式投資の
判断の際にも非常に有効な視点となる。特に、投機狙いではなく、
投資を中長期で成功させたい人は、自分が株を買う前にその企業の
「需要」と「構造」について同様に分析することを強く勧める。

・余剰資金を株に投資して中長期で成功したい人に少しだけアドバイス
するとしたら、最も重要なことは「売らなくても良い株を選ぶこと」だ。
その次に重要なのは、「買うタイミング」だ。長期で成長する「需要」と
「構造」を持つ会社を厳選して、その銘柄を焦らずに必ず暴落したときに買う。
そうすれば短期的な売買などしなくて済む。

・何十年もの間、結果としては平均7〜8%で回ってきた世界の株式市場
なのだから、市場の上下はありつつも、短期売買で一喜一憂せずに
その構造に乗っかるのが堅実だと私は考えている。

また、著者自身は仕事柄インサイダー情報に触れるため、
個別株の取引は一切せず、

・投資に回さないと社会に申し訳ない余剰金は、
投資信託で人任せに運用しているだけ

とのことです。

この本は投資関連書籍として選んだ本ではありませんでしたが、
意外なところで、自分と同じ投資方針に出会ってしまいました。

P&G出身のトップマーケターともなると、株式投資に興味がなくても、
洗練された投資マインドを持っていることを確認するとともに、
こういうプロが、ダウ平均やS&P500指数を構成する企業の中で、
しのぎを削り働いているからこそ、圧倒的な株価のパフォーマンスを
発揮させているのだということを感じました。

インデックス投資はついつい概念に投資しがちですが、
素晴らしいインデックス構成銘柄、そしてその企業の経営者たち、
すなわちそこにプロフェッショナルがいるからこそ、成長し続けるのです。
ありきたりな表現になりますが、つまるところは人なんですね!

株式投資も大切ですが、改めて自己への投資も重要だと感じたSPDRマンでした。


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