ブルデューの資本概念と米国株投資

2019/08/10

投資



SPDRマンです。

ふとピエール・ブルデュー『ディスタンクシオン』の書評に
挑戦してみようと思い立ったのですが、テーマが膨大すぎるのと、
投資ブログから乖離しすぎているため、米国株投資に関わりがありそうな
三つの資本の概念の部分を抽出したエッセンス版を書いてみました。

ブルデューの社会学は階級社会や階層の固定化の議論の中で良く引用されます。
その階級を固定させる要素としてブルデューは三種類の資本に言及します。
その三種類の資本とは下記の三つの資本です。

・経済資本
・社会関係資本
・文化資本

超ざっくり説明すると
経済資本=カネ、社会関係資本=コネ、文化資本=教養です。
この三資本の独占が継続されるほど社会階層は固定化し、
流動性の低い社会となります。

ブルデューはコレージュ・ド・フランスの教授であり、
まさにこの三つの資本の恩恵を享受していた側の象徴的な人です。
エリート権威主義が先進国の中でもとりわけ強いフランスにおいて、
その体制を皮肉的に批判する内容と既得権益を維持するシステムの暴露は
論文の発表当時話題を呼び、この伝統は『21世紀の資本』でお馴染みの
トマ・ピケティにも脈々と受け継がれております。

ブルデューの三資本の中でも取り分けよく言及されるのが、「文化資本」です。
カネとコネでエリートが既得権益化しているのは皆何となく、気がついていても
没落する人が一定数出てきます。また、カネとコネを手に入れて、
成り上がっても、維持できない人がいることをうまく説明することが
できておりませんせした。それを解明したのが文化資本による説明です。


ブルデューによる資本と文化資本の定義は下記の通りです。

資本とは「交換が成立するシステム内において社会的関係として機能するもの」であり、それは「物質あるいは非物質といった区別なく、特定の社会的な枠組みにおいて追求する価値と希少性があることを示すもの」であれば、何であっても構わない。以上を踏まえて、文化資本は「資本として機能するものの中で、蓄積することで所有者に権力や社会的地位を与える文化的教養に類するもの」(Wikipedia:文化資本より)

もちろん、古典等の書籍や美術品の鑑賞などは公共施設等で対応できることも
多くありますが、音楽や芸能(鑑賞にとどまらず演奏等も含む)、嗜好品等の
趣味の領域への出費は、単純にカネだけでは解決できない投資になります。
もちろん全てが投資になることはなく浪費してしまうことになることも
多々あると思いますが、旅行等と同様に自らの経験に投資するのです。

この発想があるかないかによって、人生の豊かさが変わります。
もちろん、カネとコネだけ、場合によってはカネだけでも十分に
豊か人生を送ることはできるかもしれません。
(事実、検証研究は経済資本や社会関係資本からスタートさせております)
ただ、学術的にはそれは経済資本=カネだけしかない貧しい人生
だということを認識しておく必要があるかもしれません。

米国株投資は確かに人を豊かにしますが、それは経済資本が豊かになるという
所詮一面的な豊かさであり、社会関係資本や文化資本も豊かにする
投資人生を送ることがより理想なのではないでしょうか。

当ブログお読みいただいた方の投資人生が少しでも豊かになるよう
陰ながら願っているSPDRマンでした。

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投資ブログに関しては銭ゲバキャラの方が面白い気もします(笑)

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