焦点:変わる日本株の「景色」、海外勢売りでも反発 存在感高まる日銀
(出典:ロイター 2020年5月19日 / 14:06)
SPDRマンです。
日銀のETFによる買い支えは個人投資家にとっては買い場を奪われる大きな問題ですが、市場全体の安定化には一定の寄与をしております。
ここ最近は海外勢が売りの攻勢を仕掛けてきても、それに対抗できるほどのインパクトを市場に与えているとのことです。
市場の安定化は雇用や既存の産業には良い影響を与えますが、日本国内の産業や企業の新陳代謝を阻害することになります。日経平均とS&P500指数の構成銘柄の入れ替えの頻度を見れば一目瞭然です。(俗に言うゾンビ企業の問題ですね)
しかしながら、新陳代謝は一見すると聞こえは良いものの、そこには本当に大きな痛みも伴います。
日本の更なる経済成長のために、コロナショックで収入が安定しない人々をそのまま失業・廃業に追い込めるのか、新産業創出のために日本製鉄や日産を破産に追いやり鉄鋼、自動車産業従事者を切り捨てラストベルトやデトロイトのような惨状を受け入れることができるのかは、この国の国民性を考えると難しいようにも思います。
市場経済を一つの有機体と捉えるのならば、生命としての自律性の問題が発生します。投資の格言にも「まず生き残れ」とあるように市場自体が存続をかけて生き延びなくてはなりません。
生存のためのシステムを説明する概念に「オートポイエーシス」というものがあります。(社会システム論は非常に難解で廃人研究者を生み出しやすい分野ですので、細かい説明は避けたいと思います。興味がある方は参考文献等を参照ください)
本当に超ざっくり説明すると、オートポイエーシスの概念の実践の場の一つとなっているのが、銘柄や指数の有機的な入れ替えやAIによるアルゴリズムトレードを導入している株式市場なのです。
ただ単に最新技術が株式市場に導入されているということではなく、最新技術が機能しやすい環境が太古の昔から市場社会には存在していたということなのでしょう。
割とオートポイエーシス論はインデックス投資やETF投信との相性は良い気がします。
また、AIやブロックチェーン、シンギュラリティみたいなテーマをしっかりと理解した上で投資先を選定するには避けては通ることのできない概念だと思います。
投資手法や投資哲学は投資家の書籍やビジネス書ではなく、歴史書や哲学書を読んだ方が得られるものが多いこともあります。
引用すべき文献を間違え、話がすごく脱線してしまったSPDRマンでした。
『ルーマン 社会システム理論』ゲオルク クニール, アルミン ナセヒ(著)
『なめらかな社会とその敵』鈴木 健(著)
生存者バイアス的な話をしようとしたつもりでした…