GAFAと監視社会(匿名と幻想)

2020/05/05

書評


アップルとグーグル、新型コロナ追跡アプリで位置情報の利用禁止
(出典:ロイター 2020年5月5日 / 14:48)

SPDRマンです。

物事には本音と建前というものがあります。

出典元の記事では、アップルとグーグルが共同開発する新型コロナウイルスの感染追跡アプリは、両社と公衆衛生当局のみが使用できることになっております。

当たり前ですが実際はそんなことはなく、国家権力もGAFAも権益や利益の追求のために個人情報を最大限悪用活用しております。

個人情報を国家の統制の道具にして良いのか、それとも一民間企業がビッグデータとして独占し、営利活動に最大限活用することの方が良いのか、この辺りは個人の価値観によって大きく判断が分かれるのではないでしょうか。

プライバシーと権力・営利活動との関係は常に緊張の連続でした。世界で初めてプライバシー権の法理を主張したのは米国でした。論文『The Right to Privacy』は、弁護士でハーバード大学ロー・スクール教授、のちにユダヤ系初の合衆国最高裁判所判事となるルイス・ブランダイス氏の生涯のテーマでした。

簡単には個人が特定できず、匿名で情報発信ができているような錯覚すら覚える、現代のネット社会ではありますが、真の意味で匿名などというものは存在しません。

当然発言には必ず個人の責任が伴います。

その一方で、匿名の幻想を前提としているからこそ出てくる本音や、普段日常生活では聞くことができない意見や主張を拝見できるのが、ネット社会です。

言いたいことを主張できる環境を守ることは重要です。米国株が最高なのではなく、最高だから米国株なのです(ロシア的倒置法)

割と投資ブログなんかは匿名性がうまく作用している分野ではないかと感じたSPDRマンでした。

-参考文献-
Samuel D. Warren & Louis D. Brandeis, The Right to Privacy, 4 HARV. L. REV. 193(1890).

ジョージ・オーウェル(2009)『一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)

宮下 紘(2012)「ルイス・ブランダイスのプライバシー権」駿河台法学 第26巻第1号

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