【AAPL】アップル信者の生態史観

2020/12/10

書評


(出典:プレジデントオンライン2020/12/10 9:00)※リンク先削除済

本日は、雑誌本誌のかなり本質を突いた内容の過去記事が、素晴らしいタイミングでオンラインに転載されていたため出典元に利用しようとしたところ、案の定大人の事情で記事が消去されてしまいました。

ユーザーとして、また間接的に投資している立場として、敢えて言わせて貰うならば、企業として実績を残しているとはいえやはりこういう部分は控えめに言ってクソですね。

アップルの音楽関連事業は、基本的にクリエイター側にとっては常に敵ででした。(消費者や投資家にとっては味方なのかもしれませんが)

この点に関してはいまだに好きになることはできませんし、きっと一生理解することもないでしょう。

本質に迫る内容は、常にこういった危険に晒されているものです。

せめてもの抵抗で、消された出典元の記事を期間限定で転載しておこうと思います。
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プレジデント 2020年10月30日号(ライター 大越 裕)

■梅棹先生が遺した知的生産の技術を知ってほしい

大阪・吹田にある国立民族学博物館(民博)の初代館長を務め、日本の比較文明学を切り開いた民族学者、梅棹忠夫が90歳で没して2021年で10年。その生誕100年を記念して、梅棹が半世紀も前に執筆を引き受けながら構想段階で凍結されていた幻の書物が蘇った。

編著を担ったのは梅棹のもとで研究を行ってきた民博名誉教授で、吹田市立博物館の特別館長を務める中牧弘允氏。数年がかりで残されたメモを読み解き、まとめ上げた。

「梅棹先生は出版社から『日本人の宗教』の執筆依頼を受け、詳細な構想メモを『こざね』というB8判の紙片に残していました。こざねの名称は、ホチキスで留めると鎧の小札(こざね)にそっくりなことが由来。梅棹自身の命名で、代表作『知的生産の技術』でも紹介されているアイデアを生み出す手法です。1枚ごとに着想や書くべき項目が記され、並べることで論文や講演の内容を練り上げていきます」

梅棹は古代から現代まで続く日本人と宗教の関係を、網羅的に俯瞰できる1冊を作ろうと考えていた。残した約350枚の「こざね」には、伝統的な神道・仏教に関する項目はもちろん、シャーマニズム、恐山、氏神、村八分、大本事件、靖國神社、さらにはゲゲゲの鬼太郎、聖教新聞など、日本人と宗教をめぐるあらゆる事項が書かれていた。

■日本人の心の中にある『現実の宗教』を考察しようとしたんです

「梅棹先生の宗教論が秀逸なのは、宗教を『産業のアナロジー』で捉え直したところです。それまでの宗教研究は、宗派等の作り手、メーカー側の視点で語るものばかりで、宗教を受容する民衆、ユーザー側の視点が少なかった。家庭のテレビや冷蔵庫、掃除機のブランドが違うのと同様、結婚式はキリスト教、葬式は仏教、地鎮祭は神道というように、日本人は宗教を自然な形で使い分けている。梅棹先生は本書で、日本人の心の中にある『現実の宗教』を考察しようとしたんです」

本書に収められた梅棹のエッセイには次のような文章がある。〈工業の論理は、じつは宗教がつくりだしたものではないか。今日の工業にみられる激烈なるシェアあらそいは、まさに中世以来の宗教観の激烈なるシェアあらそいがつくりだしたものではないのか〉。

中牧氏の「昨今の工業製品の広がり方と宗教の広がり方はとても似ている」との指摘には、Apple製品に熱狂する人々が「信者」と呼ばれることを想起させる。「こざねを用いてアイデアを形にする手法は、ビジネスの企画書作りなどにも役立つはずです。ぜひ本書で、梅棹先生が遺した知的生産の技術を多くの人に知ってほしいですね」。
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中牧弘允(なかまき・ひろちか)
国立民族学博物館名誉教授・総合研究大学院大学名誉教授
1947年、長野県生まれ。2012年より吹田市立博物館館長、現在は特別館長を務めている。著書に『会社のカミ・ホトケ経営と宗教の人類学』『カレンダーから世界を見る』など。
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梅棹忠夫の「日本人の宗教」』梅棹 忠夫 (著), 中牧 弘允 (編著)(淡交社

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