格差と子供の貧困と投資

2021/03/13

投資


日本における子どもの貧困の「発見」は2008年と言われており、リーマン・ショックと時を重ねて現代社会の重要なテーマとして語られております。

様々な研究や書籍が発表されておりますが、内容としてはブルデューの『ディスタンクシオン』でほぼ語り尽くされており、その実像を現代日本の状況に合わせて再構成しているというのが現状な気がします。

この問題は学歴格差の再生産にも密接に関係しており、教育政策にとどまらず、親の雇用や収入、医療費や家賃、食費、また地域の資源や社会資本(ソーシャル・キャピタル)、親の時間や健康・人間関係などが結果として世代を超えて引き継がれて来ている傾向があります。

貧困の連鎖は金融教育にも影響し、持てる者と持たざる者の格差をより一層拡大させて行きます。

投資に関係する情報は格差を是正する大きな可能性を秘めておりますが、その情報をうまく利用できているのは教育機会や金銭的に恵まれた層に偏り、より一層のチャンスを持てる者に与えてしまっている気もします。

ブルデューがかつて批判していたエリート層による知識と富の独占は、情報化社会によって民主化されたはずでしたが、民衆は自分が興味のある見聞きしたい幻想だけに目を向け、現実を直視しようとはしませんでした。

投資家が金銭的利益や自己実現、理想の未来に向けて歪んでいくように、貧困問題を自己責任論で済ませようとするのであれば、仮に投資パフォーマンスに恵まれても精神的には貧しい世界で過ごさなければならなくなるでしょう。

金銭的な豊かさの重要性は取り分け説明の必要はないかもしれませんが、子どもに精神的豊かさを享受させらされる社会でなければ、本当の意味での豊かさを獲得することはできないのかもしれません。

QooQ