SPACはETFのような市場の起爆剤になれるか

2021/04/10

投資


上場基準の厳しさと、激しい競争に伴う企業の入れ替わりが結果として市場の代謝を促し、米国市場(特に指数)は健全性を保ち、他の市場が簡単には真似することができない強さを誇っていると感じることがあります。

その一方で、上場企業間での競争の激しさからか年々上場企業数が減少して来ているのが米国市場の課題にもなっており、米証券取引委員会(SEC)は上場企業数のを増やすことに躍起になっていて、その方策の一つとして期待されているのが特別買収目的会社(SPAC)です。

SPACは良い言い方をすればIPOの民主化であり未公開株投資に一般投資家も参加できるようになったということになりますが、見方を変えれば上場当初のSPACは空箱で大それたビジョンだけで出資を募るペーパーカンパニーで、ベンチャーキャピタル(VC)や運用会社に「ブランクチェック(白地小切手)」を渡すような取引とも言えます。(詳しい説明は下記リンクをご参照ください)

(出典:現代ビジネス 2021.01.18)

情報の非対称性から圧倒的に一般投資家は不利な立場となりますし、安易にお勧めできる代物ではないのは明白ではありますが、市場にとっては避けては通れないイノベーションなのかもしれません。

市場の活性化と安定化のために考案されたETFも、当初はなかなか受け入れられないものでしたが、使い方を間違えなければ非常に有用な金融商品として徐々に信頼を獲得し、その地位を確立して行きました。

SPACもこのままの状態ですと悪用が後を絶たない気がしますが、市場の次のイノベーションのためには必要なエッセンスが含まれているのは事実です。(正直、個人的には嫌悪感すら覚えますが、何か上手い手法が編み出されるかもしれません)

日本国内でも、いずれこの流れは避けて通れなくなるでしょう。

(出典:日本経済新聞 2021年3月17日 20:37)

ただ、現行の状態では圧倒的に機関投資家側が有利過ぎますので、下手な手出しは避けた方が賢明です。

次の経済危機の引き金になるのか、金融に新たなイノベーションをもたらすスキームになるのかは今後の動き次第です。

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