AIと『監視資本主義の時代』

2021/04/09

書評


AIが人類にもたらすのはユートピアかそれともディストピアか。

そんな一昔前のSFのテーマのようなことが現実になりつつある昨今、本物のビジョナリーの声に耳を傾けるのは非常に重要なことです。

ただし、彼らのほとんどはアカデミズムや芸術のような分野に進んでしまうため、残念ながらビジネスや投資のような下等な分野には基本的におらず、しかも金儲けを蔑む傾向があるため非常に厄介ではありますが、投資の為になる話を聞き出すことができることもあります。

無法地帯なサイバー空間への法規制の概念を提唱し続けて来たローレンス・レッシグ氏は、GAFA等のビッグテックや新興のユニコーン企業がもたらすイノベーションとともに発生する民主主義に対する脅威を物の見事に言い当てて来ました。

そしてネット空間でのマネタイズの根幹となっているのは、AIとアルゴリズムによる個人情報の集積と広告です。

ハーバード大学ビジネス・スクール名誉教授のショシャナ・ズボフ氏が『監視資本主義の時代(The Age of Surveillance Capitalism)』で鋭く指摘しております。(この書籍の邦訳は本日の出典元の東洋経済から出版される予定ですが、現在は邦訳がないため原著のPDF直リンクをこっそり貼っておきます)

また、個人情報を用いたインターネットの広告ビジネスモデルは、資本主義社会にとどまらず、中国のようなAI技術を用いた中央集権的な独裁国家の指導者層に経済統制や社会規制等の絶大な力を与えてしまっております。

プラットフォーマーにも中国政府にも要注意ではありますが、その絶大な力から上手く利益を掠め取ってこそ投資家です。

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