学術機関の資産運用というと、今月逝去されたデイビッド・スウェンセン氏が率いたイェール大学基金が有名ですが、日本が失われた何十年とか言っている間に学術研究予算は米国とはとんでもないレベルで引き離されてしまいましたし、国力をつけた中国が(金銭的にも)とてつもなく大きな存在として台頭してきました。
保守的な運用で、いや運用とは言えないレベルでしか資金運用をしてこなかった日本の大学は、国策ファンドに頼らなければならなくなってしまいました。
この大学ファンドの取り組み自体は、個人的には何としても成功させてほしいと願っておりますが、結局親方日の丸な日本の大学には少し残念な気もします。
米国の各大学の基金が危機意識を持って本格的に運用手法を改めたのは、日本がバブルの頃くらいからですし、当時の脅威は中国ではなく日本でした。
だいぶ離されてしまった感もありますが、まだ手遅れではないはずです。
出典元で印象的だったのは、『リスクを最小化して運用目標を達成するという考えは「間違いだ」とし、「重要なのは、リスク量を決めてリターンを最大化するという考え方だ」』という部分です。
プロに向けての言葉ですので真に受ける必要はありませんが、変に凝り固まった運用をするよりも株式の「暴落時は買い場」のような危機時の運用対応や、長期的なオルタナティブ投資を積極推奨しておりました。
日本の科学技術力の地盤沈下の原因の一つは、間違いなく大学や研究機関の金欠ですので、本当に再起を期待したいところです。