GAFA規制審議、提訴と分割への道

2021/06/12

投資


いよいよGAFA等巨大テック企業への規制を強化する反トラスト法(独占禁止法)改正の作業が本格化します。

下院司法委員会で超党派議員らが5本の反トラスト法改正案を公表しました。

つい先日、アマゾンが映画制作配給大手メトロ・ゴールドウィン・メイヤー(MGM)の買収を発表しましたが、改正案によると、各社のプラットフォームで自社の製品を優遇するなど利益相反の行為を禁じるため、買収が実現するのか否かは予断を許さない状況になってきました。

米国の反トラスト法は、スタンダード石油による石油市場独占に対処するためにシャーマン法が1890年に発行されたのを皮切りに、独占・寡占の予防や不公正取引の摘発・予防能力強化のためクレイトン法とFTC法が制定され、最終的には裁判所の判例によって変化が加わってきました。

特に象徴的だと言われているのは69年のIBM【IBM】の提訴と、74年から始まり最終的には分割されたAT&T【T】のケースです。

マイクロソフト【MSFT】も解体されかけましたが、上記に比べれば難を逃れた扱いになるのでしょう。

GAFAがどうなるかは定かではありませんが、今回の独禁法政策の陣頭指揮を執るメンバーや委員会の論文には様々なヒントが含まれております。

主な関連論文は下記の日経記事にまとめられているので、ぜひ参照して見て下さい。(有料記事が読めない方は、論文の直リンクを貼っておきますのでご活用下さい)


もちろん今後どうなるかは分かりませんが、反トラスト法適用後のIBMやAT&T、2000年代のマイクロソフトの株価のパフォーマンスの推移見ると、GAFAがこれからも安泰であり続けると言い切るのは難しい気もします。

IBMにハードウェアとソフトウェアのセット販売を禁止したからこそできたソフトウェア市場、AT&Tを解体したからこそ手に入った現代のインターネット環境。

どちらも現在ではあまりに当たり前に社会インフラとして恩恵を受けているため忘れがちですが、この当たり前を創り出してくれたのは先人たちの先見性と独禁法政策の結果なのです。

投資パフォーマンスの低下以上の恩恵を享受できるかは、この政策にかかっております。

次のGAFAを探すために、この動向を入念にチェックする価値は十分にあると思います。

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