新自由主義的ではない日本的な何か

2021/09/10

投資


選挙ラリーが続く日本市場ですが、自民党総裁選候補の一人である岸田文雄・元政調会長が経済政策を発表しました。

高市氏がアベノミクスを踏襲する「サナエノミクス」を打ち出したのに対して、岸田氏は宏池会らしく令和版所得倍増計画等、小泉政権以降の新自由主義的な政策からの転換を打ち出してきました。

河野氏も含め、どの候補が総裁になっても選挙対策のための景気対策には期待が持てる一方で、その後の対応は各候補独自の「らしさ」が出てきそうです。

分配政策を取ろうとする岸田氏のスタイルは、似たような対案を出してくる野党潰しには非常に効果がありますが、中途半端な政策では「新しい日本型資本主義」ではなく、ぬるま湯の悪しき日本型なんちゃって資本主義の再来の可能性も否定できず、市民生活はどうなるかはわかりませんが、投資家にとっては好ましくない状況に向かう可能性も否定できません。

何も新自由主義的な発想だけが投資家にとって親和的な思想という訳ではありませんので、新たな道を模索することも多いに結構だと思いますが、問題は新自由主義的な政策よりも結果を残すことができるかという点です。

今までの「日本型」の政策は被雇用者にとっては非常に優しいような気もしますし、ある時期までは一定の成果も上がっていたと思いますが、果たして新しい「日本型」が米国型や欧州型の政策以上に優れ競争に打ち勝つことができるのでしょうか。

企業や産業の新陳代謝の遅れがもたらしたのは、成長産業の衰退と若年層雇用の不安定化および少子化だったのではなかったでしょうか。

個人的にも新自由主義者やそういう発想に染まった投資家は好きではありませんが、既存の政策を否定する以上は、それ以上の成果をもたらさなくてはなりません。

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