マクドナルド神話とロシア

2022/05/08

 

かつてマクドナルドが店舗展開している国同士での戦争は起こらないという考え方が支持を得ていた時代がありました。


NYタイムズ紙のトーマス・フリードマン氏が『レクサスとオリーブの木』で提唱しておりました。


もともと批判の多い論考でしたので、そこまで真に受けていた方は多くなかったのかもしれませんが、ロシアのウクライナ侵攻によって、見事に神話は崩れ去りました。


今から振り返ると、冷戦後の米国一強時代を映し出したグローバル化楽観論の象徴だったのかもしれません。


その後の著作である『フラット化する世界』ではマクドナルドからデルのグローバル・サプライチェーンへ話題を変え紛争回避理論を展開しておりましたが、現在の半導体企業と国際政治の情勢を見ると、これも楽観的な時代の産物と見なさざるを得ない状況です。


BRICs諸国が必ずしも米国化を望んでいなかったというのは、米国人ではない日本の投資家の感覚としては今更感がありますが、米国のグローバリズム論者は割と本気で米国化が答えだと信じている節があります。


戦後の日本は、同化の巧さからある程度まではその恩恵に与って来ましたが、完全な同化を望んでいない部分が、失われた何十年やGAFA級の企業が生まれない土壌を生み出してしまっているのかもしれません。


何も時価総額至上主義的な企業だけが米国の資本主義ではありません。


とはいえダウ平均の構成銘柄は、良くも悪くも米国企業の象徴的な存在です。


結局はマクドナルド株に希望を見出し、神話的なストーリーに縋るのが米国株投資の一つの側面なのではないでしょうか。

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