母国に見切りをつけた頭脳流出

2022/08/21

 

スリランカの経済危機で混乱が長期化する中、母国を見限り脱出する技能労働者が増えているそうです。


能力の高い方には選択肢がある一方で、頭脳流出で国力の低下が憂慮されておりますが、民主的なプロセスの中で国粋主義が台頭することを恐れた結果がこの惨状なのかもしれません。


一方で、能力の高い労働者が出稼ぎをして母国に貢献するという考え方もありますが、人材の流出はピンチをチャンスに的な機会すら奪われますので由々しき事態です。


マスコミが混乱する途上国の極端な例を切り取っているという指摘はごもっともですが、日本だって一度舵取りを間違えれば他人事ではありませんし、実際に日本国内では人口減少以上に偏在化が激しくなった地方の人口流出も考えようによっては似たような現象ではないでしょうか。


魅力のない地域は合理的に滅びるべきであると過疎地域やスリランカあるいはウクライナに言うのは簡単ですが、実際にそこには人々の暮らしがあり、全ての人が上手く立ち回れるわけではないからこそ、腐敗した政治が跋扈していたりするのです。


投資界隈に亡霊のようについて回るアイン・ランド的な虚構は、国を追われた人々の怨念として再生産を続けているのかもしれません。

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