寵児転落と効果的利他主義

2022/12/13

 

時代の寵児が得た巨万の富を失い破綻し、挙げ句の果てはブタ箱送りや自殺や他殺で命を落とすなどという展開は、業界を問わずよく見かける光景です。


それが今回は暗号資産の取引所だったということでインパクトが大きかったというだけかもしれません。


恵まれた学者の家系に生まれ、自らが強い関心を寄せていた「効果的利他主義」を実現すべく、なりふり構わず荒稼ぎし慈善団体への寄付に熱を注ぐ生き方を選んだようです。


途中までは絵に描いたようなサクセスストーリーを歩めていたのかもしれませんが、いつからか荒稼ぎの手段に過ぎなかった暗号資産のアービトラージ事業者の立場から、業界団体の重鎮と化そうとしていくうちに舵取りを誤りました。


慈善団体への寄付は確かに役立っていたのかもしれません。その資金が詐欺紛いの金だったとしてもお金に色はありません。


新しい哲学や社会運動に身を投じた結果、自己陶酔に陥ることもあるでしょう。


特に金融界隈はこのタイプが非常に多いのでよく見かける現象ではありますが、所詮金融屋は銭儲けの化かし合いであることを忘れてはいけませんし、資産運用や投資がさぞかし正しいことのように吹聴されていても、自己防衛に走る人間の醜い姿だという意識は忘れずに持ち続けたいものです。

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