金融情報の寡占化と趨勢

2022/12/24

 

普段何気なく触れている経済ニュースの元を辿ると、その多くが経済紙または通信社の配信となります。


ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の発行元であるダウ・ジョーンズといえば、何と言ってもダウ平均という指数を作り上げた企業でした。


しかしながらマードック氏率いるニューズ社に買収されてからは、インデックス算出事業はCMEグループに売却され、S&Pグローバルとの合弁事業として発足したS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが管理するようになりました。


指数部門が切り離されて以降は、WSJやバロンズなど米国株投資家には馴染みのある経済情報を提供し続けてくれてはいるものの、会社組織としてはニューズ社の一子会社と非常に不安定な立場が続いております。


米国の経済メディアで大きな影響力を有しているのは、大統領選にも出馬したブルームバーグ氏のブルームバーグ社であることは間違いありません。


そのブルームバーグ氏が老舗のWSJひいてはダウ・ジョーンズ社を手中に収めるとなると、金融情報に関しては独占的な地位を占めることになるでしょう。


対抗するロイターはリフィニティブを分離し、リフィニティブはロンドン証券取引所グループ(LSE)傘下となり英国での立て直しを図っております。


日本でも日経がフィナンシャル・タイムズ(FT)を買収するなど、経済メディアの集約化が進んでおりますが、どこのグループが本当に価値のあるシナジー効果を生み出すことになるのかは、まだまだ未知数です。


金融情報端末の分野などは、まだグーグル等のビッグテックが参入できていない障壁が残っておりますが、そのワイドモートもいつ崩れるかわからないのが、今の金融情報分野の現状です。


個人投資家として単に情報を得る分には無料ニュースで特段困ることはないかと思いますが、なぜプロは相当高額な金融情報をわざわざ買ってまで入手しているのか、そして無償の情報自体に相当なバイアスがかかっていることは常に意識しておきたいところです。

QooQ