ETFという便利な道具は多くの投資家に恩恵をもたらしましたが、一方でその便利さ故に不正の温床になっているのも紛れもない事実です。
アクティブETFの問題はさておき、個別株銘柄ではないという理由からインサイダー取引の規制を掛けづらく、その事を逆手に取った「シャドー取引」によってインサイダー取引の摘発から逃れられている疑いのある取引が横行しているそうです。
当ブログの読者層にとっては今更な話ではありますが、この手の主戦場となっているのはテクノロジーとヘルスケアの両セクターで、「iシェアーズ拡大テクノロジー・ソフトウエアセクターETF【IGV】」、「バンガード米国資本財サービスETF【VIS】」、「バンガードヘルスケアETF【VHT】」あたりがよく利用されているそうです。
そんなことは分かりきっていたからこそ、故ボーグル氏はバンガード社のセクター別ETFにあまり前向きではなかったのでしょう。
こういった取引は違法性が確定するまでは裁けず、やったもん勝ちの状態が続いております。
そういったモラルハザードも市場のダイナミズムの一翼を担っているのかもしれませんが、こういった隠れ蓑を見過ごしているといずれ痛い仕打ちを受けるのは市場全体です。
だって儲かるんだもん的な凡庸な悪は、アーレントを引くまでもなく破滅への道です。
切れ味の良い刃物は便利な道具にも凶器にもなる、或いは米国ですので全米ライフル協会的に「銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ」の方が似合うかもしれませんが、火遊びにも限度があるということです。